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研究紹介READINGS


数理工学と社会学の融合

大規模コンペティションデータを活用した現代ピアノ教育過程の数理的分析

 本研究では,学生ピアノコンペティションの時系列採点データを活用し,戦後日本社会におけるピアノ教育過程を数理的に追及しています. 具体的には,“1992〜2015 年度のピティナ全参加者の属性・選曲・採点結果” という延べ56 万件規模のデータベースを解析し,ピアノ技術の伝承過程とそこから導かれる社会的距離, さらにはピアノ学習者の演奏技術習得過程に,焦点を当てます.本研究で着目するのは,(i) ピアノ教育における師弟関係と,(ii) 楽曲の習得過程,の2つに関する“ネットワーク” と“距離” です. 時間・空間・難易度という3 軸上で展開されるピアノ教育“過程”を定量的に解析することによって,ピアノ教育者が感覚的に認識していた仮説の可視化のみならず, その数学的帰結から導かれる新たなる文理融合的な知見の創出が期待できます.


→詳しくは (研究成果報告書)
電気自動車の社会的普及に向けたインフラ整備

電気自動車の普及率に応じたバッテリー交換型ステーションの適切な運用形態

 近年,地球温暖化対策や石油依存からの脱却を目指し,電気自動車に改めて注目が集まっています. 過去,何度も電気自動車の可能性が追及されたにもかかわらず,普及に至らなかった最大の原因としては,バッテリーの性能限界が挙げられます. 具体的には,連続航続距離の短さ,充電時間の長さが課題となっていました. この問題に対し,"バッテリー交換方式"という新たなる運営形態が,Better Place社によって提案されています.
 ただし,当該方式を導入するためには,電気自動車のバッテリーを交換するための"バッテリー交換ステーション"を整備し,かつ,そこにはある程度のバッテリー在庫を確保しておく必要があります. そこで本研究では,新たなる電気自動車の支援インフラとして,バッテリー交換ステーションに焦点を当て,バッテリー在庫という観点からその適切な運用形態を評価することを試みています. また,バッテリー交換方式の導入が,社会全体にもたらす追加負担についても議論しています.


→詳しくは (CiNii 論文PDF)
→詳しくは (早稲田大学高等研究所ディスカッションペーパー)

高速道路網における電気自動車の支援ステーションに関する考察

 ``EV 元年''などの言葉に代表されるように,近年,環境意識の高まりも後押しし,電気自動車(EV: Electric Vehicle) に対する注目が高まっています. 相次いで市販用EV の発売も開始されており,社会全体への普及が期待されています. しかしながら,日々,性能向上が試みられているものの,現状では連続航続距離が160km 程度と,未だ十分な性能を有していません.
 当該問題は,長距離トリップが前提となる高速道路において,特に課題となります.そこで本研究では,EV の支援インフラとして高速道路における充電施設に焦点を当て,各充電施設に対するEV 到着数の見積もりを行うための数理モデルを提案しています. また,全国高速道路ネットワークへと,モデルを適用し,給電間隔やインフラ施設数等を様々に変化させ,当該条件下で必要となるEV 充電スタンド数の試算を行っています.

                                       [全国高速道路SAへのEV到着数]

→詳しくは (査読付き原著論文)
講義資料

建築計画学第4

 建築の設計において,直観や経験の重要性は改めて言うまでもないでしょう.しかしながら,過度な直観や経験への依存は,建築計画を工学的な合理性から逸脱させる諸刃の剣とも成りかねません. 本講義では,建築の計画・設計を行うに際して,論理的思考という揺るがない判断規準を付加するための数理解析方法を概説します. デザイン性のような華やかさはありませんが,数学的帰結がもたらす一つ一つの知見は,建築設計を行う際の有力な道具(ツール)となるものと信じています.
 本講義では各論形式を採りますが,大局してI. 見積もりの数理,II. 都市・建築の数理,III. 意思決定の数理,という三つの軸を設けました. 建築計画に限らず,世の中のありとあらゆる工学的な計画を行うに当っては,定石ともいうべきマネジメント手法が存在します. それは有り体に言えば「見積もり」の数理であり,計画を秩序立てる手助けになります. また,建築は,決して単独で帰結する構成物ではありません. 複数の建築が集まり,町をつくり,都市をつくり,そして国をつくっていることは明らかです.その意味において,建築のみならず,より広い視点の都市空間がもつ普遍的特性を明らかにすることも有益でしょう. 「都市・建築」という社会システムがどのような現象を起こし得て,どこまで制御可能であるのか数理的に追求することを試みます. 建築の利用者である人という観点からの分析も意味があるでしょう.都市社会は人間の「意思決定」の帰結として存在するという仮定に基づけば,怯えることなくその基本法則を明らかにすることも試みるべきです. 多角的な視点からの数理的分析が,より思慮深い建築計画・設計への助けになるものと信じています.


→講義シラバス
→講義テキスト (統合・修正版)
→レポート例 (``円筒型スペース・コロニーの距離分布'')

基礎オペレーションズリサーチ:離散選択モデル

 我々の日々の行動は,「複数のものの中から,どれか1つを選ぶ」という行動に満ち溢れています. 一見すると,このような選択行動とオペレーションズリサーチの関係は,思いつかないかもしれません. しかしながら,「人間による意思決定」の連続で,社会が成り立っていることを思い起こせば,選択行動を数理的に分析する重要性は容易に想像できるでしょう.
 したがって,社会に溢れている「人々の選択行動」は,重要なオペレーションズリサーチの対象と考えられ,適切なる数理モデルに基づいて分析する必要があります. このように,離散的に提示されたいくつかの候補の中から,どの選択肢を選ぶかを分析するためのモデルとして,本講義では``離散選択モデル''の基礎について解説します. 離散選択モデルは,様々な分野で活用されています:交通工学;経済学;マーケティング;心理学;生物学等々.そして,それらの分野で適用される問題は,枚挙に暇がありません. 本テキストでは,そのような一例としてマーケティングにおける商圏分析への応用についても紹介します.


→講義テキスト
→演習用Excelシート


初学者のためのOR

施設配置の数理

 都市には駅・市役所・病院といったさまざまな種類の“施設”が存在します. 人々は必ず移動を伴ってこれらの施設を利用するため,その“配置”が利便性を決める重要な一要因となります. そこで本資料では,都市における“施設配置問題”をOR 的視点から分析し,数学的作法の基礎や,論理的な結論から導かれる真意(こころ)について解説します. 施設を配置すれば,結果として「得をする人と損をする人」が生じ,全員を納得させることは決して容易ではありません. よって,その“解”をいかに社会へ還元するかは,むしろ政治経済的なテーマと言えます. ぜひOR の,幅広い社会適用性の一端を味わってください.


→解説記事 (``高校生に伝えるOR''より)
→解説スライド (キャンパス公開 中高生見学ツアー)

東京大学 本間研究室

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