凸空間の列挙に基づく建築空間解析
建築技術の向上により,複雑な形状をもつ建築物が増えてきました.内部空間の使い方も可能性が広がります.凸空間に着目し,その内部空間の特徴を分析することも試みています.
従来,建築空間の形態分析では可視空間が多く用いられていました.可視空間はある代表点から見える領域を示していますが,必ずしも空間内の任意の2点が可視であることは保証していません.これに対し,本分析で着目する凸空間ならば空間内の任意の2 点は視認性という意味で対等関係にあります.音や香りといった視覚以外の五感も,よりダイレクトに共有できる意味において,建築計画的にも好ましい基準と言えます.
本研究では計算幾何学とグラフ理論を併用することで,考え得る全ての凸空間を列挙することに成功しました.重ね合わせや特徴量抽出を行うと,空間利用の可能性が把握できます.