Technique

道具としての数学

(研究概要をまとめたパンフレットもご覧ください)

建築学にとって「模型」は,自身のアイディアを伝えるための重要なツールです.デザインや構造など,伝えたい内容に応じて,その作り方や材料も変わってきます.このアナロジーに基づけば,空間の定量化を伝えるために,数式という材料を用いた,数学模型を作ることもできそうです.事実,この考え方は「数理モデリング」と呼ばれ幅広い分野で活用されています.

本間研究室では,空間を定量化するための道具として数理モデリングを用い,その空間特性を把握すべく,日々ディスカッションを重ねています.言うなれば,空間を計る新しい定規(≒単位)を創る研究だとも解釈できます.一例を挙げましょう.上図はフロアプランの最適化を試みた数理モデリングの例です.オフィスや商業施設といった建築物の設計では,フロアプランが非常に重要です.光・風といった環境や設備・構造要件の制約こそ満たす必要がありますが,できる限り,人の行き来がしやすい,あるいは賑わいのでるプランが理想的でしょう.言うなれば,人の流れを活性化する部屋の「場所」と「規模」を決める作業に他なりません.そのよう観点に基づけば,すでに存在している既存のフロアプランを(図-左),数式で表現することによって(図-中央),内部での行き来が最も活発となるよう再計算することなども可能になります(図-右).