数理最適化によるフロアプラン自動生成への挑戦
建築設計の初期段階では、敷地条件、法規制、必要諸室の面積や配置関係など、多くの条件を同時に満たしながら平面案をまとめていく必要があります。しかし、こうした条件は複雑に絡み合うため、設計には多くの時間と試行錯誤が求められます。本研究では、このような設計初期の意思決定を支援するために、数理最適化を用いてフロアプランを自動生成する方法を企業と共同開発しています。
ここで目指しているのは、条件を曖昧に解釈して案を出す一般的な生成AIとは異なるアプローチです。敷地形状、建蔽率、容積率、必要諸室、ゾーニング、空間の連結性といった条件を、制約として明示的に組み込みながら、成立可能な平面案を探索することを重視しています。そのために、平面を格子状の単位に分け、それらを各用途に割り当てる数理モデルを構築し、より大きな問題にも対応できるよう計算方法の改良を進めています。
実際には、建築士試験の製図課題のような条件設定を例に、複数の平面案を自動生成するプロトタイプの開発に取り組んでいます。計算性能の改善によって、従来は現実的な時間で解くことが難しかった問題に対しても、より短時間で実行可能な解を得られるようになってきました。本研究は、建築設計を機械に置き換えることではなく、設計者が複雑な条件を整理しながら、より早く、より確かに意思決定できる環境をつくるための挑戦です。
